【令和8年度税制改正】企業が押さえておくべきポイントを徹底解説

令和8年度税制改正の解説_4月最終版

 

令和8年度(2026年度)の税制改正は、331日に国会で成立し、41日より施行されました 。
今年度の改正では、物価上昇を踏まえた「長年据え置かれたままの基準額」の引上げが行われた一方で、安定財源の確保を目的とした「増税・優遇措置の廃止」も目立ちます 。

本コラムでは、添付のPDF資料をもとに、様々な企業の経営者様や経理担当者様が特に押さえておくべき「法人税」「消費税」「人事・労務」に関わる改正のポイントをわかりやすく解説します。
詳細な図解やその他の改正項目については、本記事上部に添付しているPDF資料をぜひご参照ください。

法人税関連:設備投資の促進と賃上げ税制の見直し

法人税については、設備投資を後押しする制度が拡充される一方で、これまで利用されてきた一部の税額控除については厳しい見直しが入りました。

●中小企業の少額減価償却資産特例の基準額が「40万円」へ引上げ

中小企業において非常に利用頻度の高い「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」が拡充されました。
これまで長年「30万円未満」とされてきた基準額が「40万円未満」に引き上げられ、適用期限も令和11331日まで3年延長されます 。
ただし、対象となる法人から「常時使用する従業員の数が400人を超える法人(改正前は500人)」が除外される点には注意が必要です 。

●賃上げ促進税制の一部廃止(教育訓練費の上乗せ措置等)

賃上げ促進税制については、厳しい見直しが行われました。
中小企業においては、教育訓練費の増加額を上回る税負担の軽減を受けているケースがあるとの会計検査院の指摘を受け、「教育訓練費の上乗せ措置」が廃止されます 。
また、大企業向けの賃上げ促進税制については、適用期限を待たずに1年前倒しで廃止(令和8331日以前に開始する事業年度で終了)されることとなりました 。

●特定生産性向上設備等投資促進税制の創設

国内での高付加価値化型の設備投資を促進するため、すべての業種を対象とした新たな税制が創設されました 。
一定の投資計画の確認を受けた上で、投資合計額が35億円以上(中小企業は5億円以上)などの要件を満たした場合、「即時償却」または「7%(一部4%)の税額控除」が受けられる強力な措置です 。

消費税関連:インボイス制度の特例見直し

インボイス制度の経過措置として設けられていた特例についても、制度の定着に合わせて見直しが行われます。

●「2割特例」の実質的終了と「3割特例」への移行

インボイス発行事業者となった免税事業者に対する「2割特例」が終了し、令和9年・10年に含まれる各課税期間においては「3割特例(売上税額の3割を納税)」の経過措置が適用されます 。
ここで実務上極めて重要なポイントは、3割特例の対象が「個人事業者のみ」に限定され、法人はすべて対象外となった点です 。
新設法人を利用した租税回避スキームへの対策と考えられますが、法人で2割特例を利用していた企業は、原則的な計算や簡易課税への移行準備が必要です 。

●免税事業者からの仕入れに係る「8割控除」の上限設定

免税事業者等からの仕入れについて認められている「8割控除(期間延長後は7割控除等)」の特例について、一部の外国法人グループなどによる悪用を防ぐため、1事業者からの仕入れに係る年間適用上限額が「1億円」に制限されます(令和8101日以後に開始する課税期間より) 。

人事労務・源泉所得税関連:福利厚生の非課税枠拡大

物価上昇を受けた「長年据え置かれたままの基準額の見直し」の恩恵を大きく受けるのが、従業員向けの福利厚生関連です。
実質的な手取りを増やす「第三の賃上げ」として活用が期待されます 。

●食事支給の非課税限度額が「月額7,500円」に倍増

企業が従業員に提供する食事(現物支給)に対する非課税限度額(企業負担額の上限)が、月額3,500円以下から月額7,500円(税抜)以下へ大きく引き上げられました(令和841日以後に支給すべき食事から) 。
40年以上据え置かれていた枠の拡大であり、従業員のランチ代補助などを導入・拡充しやすくなります 。

●マイカー通勤手当の拡充(駐車場代5,000円非課税の創設)

マイカー通勤手当の非課税限度額についても、各距離区分で基準額が引き上げられました 。
さらに大きな変更点として、勤務地周辺などの一定の駐車場を利用する場合、5,000円を上限に駐車場代相当額を非課税限度額に加算できる措置が新たに創設されました 。

経営者個人・従業員に関わる注目の改正

●基礎控除等の引上げ(「年収の壁」への対応)

社会的な課題となっていた「年収の壁」に対応するため、所得税の基礎控除が最大104万円に引き上げられ、給与所得控除の最低保障額も74万円に引き上げられました 。
これにより、所得税の課税最低限が103万円から178万円まで引き上げられます(令和8年分以後の所得税より) 。

●貸付用不動産の評価方法見直し(節税スキームへの対応)

個人の資産形成や事業承継において注意が必要なのが、不動産を使った節税対策への牽制です。
相続等の直前に取得した貸付用不動産や、取得時期にかかわらない不動産小口化商品について、通達評価額と市場価格との乖離を利用した節税を防ぐため、通常の取引価額等に基づく評価方法に見直されます(令和911日以後の相続等より) 。

おわりに

令和8年度税制改正は、設備投資や福利厚生を充実させる企業には追い風となる一方、インボイス特例を利用していた法人や、教育訓練費の上乗せを活用していた企業にとっては実質的な増税となる側面も持ち合わせています。

本コラムで取り上げた項目以外にも、「暗号資産取引への分離課税の導入」 、「事業承継税制の提出期限延長」 など、多岐にわたる改正が行われています。
詳細につきましては、ページ上部よりPDF資料をダウンロードしてご確認ください。

自社への具体的な影響や、今後の税務戦略・経理対応についてご不安な点がございましたら、ぜひプラスト税理士法人までお気軽にご相談ください。
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