
ホールディングス化(持株会社化)で自社株の評価が下がってきた4つの理由と、国税庁の評価見直し案(第6回会議まで)での扱いを会議資料のページ付きで整理
数多くのオーナー企業の事業承継・組織再編と、自社株の評価を支援してきたプラスト税理士法人です。
「事業承継対策でホールディングス化したけれど、評価方法が変わったら意味がなくなるの?」
国税庁で自社株の評価方法の見直しが議論されています。税理士法人として忖度なしでお伝えすると、現時点では「効果がすべてなくなる」とも「影響はない」とも言えません。株価が下がってきた理由ごとに、見直し案での扱いも、どこまで決まっているかも違うからです。本記事では、ホールディングス化した、または検討しているオーナー経営者に向けて、その違いといまやるべきことを解説します。
この記事の結論
• ホールディングス化の株価対策が、すべて使えなくなるわけではありません。株価が下がってきた4つの理由のうち、①会社規模、②株特外し、③子会社の価値が反映されにくい仕組みは、効果が小さくなる方向の案です。④含み益に対する38%控除は、第6回資料で特定の評価会社の区分に応じて控除の有無を使い分ける考え方が示されたものの、控除とその対象範囲は第7回以降の論点で、方向性は固まっていません。いずれも確定前です。
• 会社のタイプ別に、いますることは次のとおりです。
– 持株会社の設立・組織再編から5年以内 → 相続・贈与の時期と評価方法の関係を確認
– 100%子会社に利益が積み上がっている → 現行ルールと見直し案の両方で試算
– 不動産・現預金で株特外しをした → 資産管理会社に当たるかを試算
– これからホールディングス化する → 株価対策だけでなく経営の目的から設計し、株価・税負担もあわせて試算
1. なぜホールディングス化(持株会社化)で自社株の評価が下がったのか|4つの理由
ホールディングス化(持株会社化)とは、オーナーが事業会社の株式を直接持つのではなく、持株会社(ホールディングス)を設立し、その持株会社を通じて事業会社を持つ形にすることです。相続・贈与のときは、オーナーが持つ持株会社の株式を、財産評価基本通達(=国税庁が定める財産の評価ルール)にしたがって評価します。評価方法の全体像と見直しの経緯は、次の記事で解説しています。
参考記事:非上場株式(自社株)の評価はどう変わる?類似業種比準方式の廃止案と残余利益方式|国税庁 有識者会議・第6回までの要点
理由① 会社規模を大きくして類似業種比準方式を使う
現行ルールでは、会社の規模(大会社・中会社・小会社)によって評価方法が変わります(財産評価基本通達178・179)。大会社は原則として類似業種比準方式(=上場している同業種の株価を基に、配当・利益・簿価純資産の3つを比べ、評価の安全性を考えた割引〈しんしゃく率。大会社は0.7〉を掛けて評価する方法。同180)で、小会社は原則として純資産価額方式(=会社の資産を相続税評価額に洗い替えて評価する方法)で評価します。従業員数が70人以上の会社は大会社です。
大会社ほど相対的に低く評価される構造は国税庁も認めており(第5回資料6ページ)、持株会社に管理部門と従業員を集めて規模を大きくすることが行われてきました。また、持株会社が持つ子会社株式は子会社の規模に応じた方法で評価し、子会社段階では38%の控除(理由④)はしません(同185・186-3)。
理由② 株式等保有特定会社の判定を外す(株特外し)
資産の大半が子会社株式という純粋持株会社は、総資産(相続税評価額)に占める株式等の割合が50%以上になりやすく、その場合は株式等保有特定会社(いわゆる株特)として、原則として純資産価額方式で評価されます(同189(2)・189-3)。株特外しとは、不動産や現預金、貸付金などを持株会社に持たせて株式等の割合を50%未満に下げることです。ただし、合理的な理由もなく資産構成を変えて判定を免れたと認められる場合は、その変動はなかったものとして判定します(同189のなお書き)。
理由③ 子会社の価値が親会社の評価に反映されにくい
持株会社を類似業種比準方式で評価する部分では、比べる3つの要素のうち「純資産」は帳簿価額(同183(3))、「利益」は法人税の課税所得に、子会社からの受取配当のうち法人税で課税されなかった部分を足し戻した金額です(同183(2))。そのため子会社の価値は、子会社株式の簿価と、子会社から受け取った配当を通じてしか反映されません。子会社に利益が積み上がっても、配当しない限り親会社の評価にはほとんど表れません(第5回 当日机上配付資料〈見直しイメージの骨子〉6ページ)。
理由④ 含み益に対する法人税額等相当額(38%)の控除
持株会社を純資産価額方式で評価するときは、資産の相続税評価額と帳簿価額の差(含み益)に38%を掛けた「法人税額等相当額」を差し引きます(同185・186-2)。個人が子会社株式を直接持つ場合にはない控除です。この割合は、防衛特別法人税の創設に伴い、令和8年4月1日以後の相続・遺贈・贈与から37%が38%に改正されました(国税庁「財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし〈令和8年3月25日〉)。株式移転などで著しく低い価額で受け入れた子会社株式は、受け入れた時点の含み益が控除の対象から外れるため(同186-2(2))、控除の対象は主に持株会社化した後に子会社の価値が増えた部分です。
計算例|株式移転で設立した持株会社の場合(金額は説明のための仮の数字です。子会社は大会社で、類似業種比準価額が5億円とします〈直接保有でも持株会社経由でも子会社株式の評価額は同じ〉。持株会社は子会社株式のみを持ち、純資産価額方式で評価するものとします)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 子会社株式の帳簿価額(株式移転で受け入れた価額) | 1,000万円 |
| 株式移転の時の子会社株式の評価額 | 3億円 |
| 相続・贈与の時の子会社株式の評価額 | 5億円 |
| 控除の対象外となる、受け入れた時点の含み益 | 3億円−1,000万円=2億9,000万円 |
| 控除の対象となる含み益 | 5億円−(1,000万円+2億9,000万円)=2億円 |
| 法人税額等相当額 | 2億円×38%=7,600万円 |
| 持株会社の純資産価額 | 5億円−7,600万円=4億2,400万円 |
直接持てば5億円の株式が、持株会社を通じると4億2,400万円になり、差は7,600万円(株式移転の後に増えた2億円の38%)です。持株会社化してからの成長が大きいほど、この控除は大きくなります。
2. 評価見直し案で、ホールディングス化の株価対策はどう変わる?(4つの理由の対応表)
国税庁は第5回(2026年8月20日)で見直しの方向性を、第6回(9月16日)で各論を示しました。新しい原則は、簿価純資産に「稼ぐ力」を加減する残余利益方式です。その算式では、持株会社自身の部分(子会社株式と子会社からの配当を除いて計算)にしんしゃく率を掛けたうえで、「子会社株式評価額」を別に加える形になっています(第5回 当日机上配付資料〈見直しイメージの骨子〉11ページ)。
| 4つの理由 | 現行ルール | 見直し案(第5回・第6回) | どこまで決まっているか(確定度。第6回時点) |
|---|---|---|---|
| ① 会社規模と類似業種比準方式 | 大・中・小で評価方法が違い、大会社ほど低く評価されやすい(財産評価基本通達178・179) | 規模の区分と類似業種比準方式をなくし、規模にかかわらず残余利益方式に一本化(骨子1ページ、第5回資料1・6ページ) | 方向性が示された案。還元率(=株主が通常期待する利回り)としんしゃく率は未定 |
| ② 株特外し | 株式等の割合(相続税評価額)が50%以上なら株特(同189(2)) | 株特などを「資産管理会社」にまとめ、有価証券・自ら使っていない不動産・現預金などの「特定資産」が帳簿価額で総資産の70%以上、または特定資産の運用収入が総収入の75%以上かで判定(第6回資料20ページ) | 案。子会社株式を特定資産に含めるかは未定(参考にした事業承継税制の基準では、会社と代表者一族で議決権の過半数を持つ子会社の株式は、その子会社自身が資産保有型・資産運用型に当たらない限り除かれる。円滑化法施行規則1条17項2号イ) |
| ③ 子会社の価値 | 類似業種比準方式では、子会社株式は簿価と受取配当を通じてしか反映されない(同183) | 持株会社とオーナー一族で直接・間接に100%を持つ子会社の株式は、簿価ではなく適正な価額に直して親会社の評価に反映(第6回資料15ページ) | 案。対象を100%子会社に限るか、さらに広げるかは議論中 |
| ④ 38%の控除 | 純資産価額方式で含み益の38%を控除(同185・186-2) | 組織再編直後・開業後5年未満の会社では控除しない使い分けも考えられるとされている(第7回以降に検討。第6回資料1・21ページ) | 未定。控除とその対象範囲は第7回以降の論点 |
①〜③がそろって採用されると、「親会社の規模を大きくし、子会社の価値は簿価のまま」という構造そのものがなくなります。国税庁はグループ経営でも単体経営でも評価が同等になるべきとする一方、委員からはグループ化を阻害すべきでないとの意見も出ており、採用の範囲は今後の議論次第です(第5回議事要旨、第5回・第6回の委員提出意見書)。
3. すでにホールディングス化した会社がいまやるべきこと|3つの行動と確認リスト
① 現行ルールと見直し案の両方で試算する
現行ルールでの評価額と、4つの理由のどれでいくら下がっているかを把握します。見直し案は還元率・しんしゃく率を幅をもって仮置きし、子会社株式評価額を加える場合と加えない場合の両方を出しておきます。
② 慌ててホールディングス化を解消しない
見直しの内容も適用時期も決まっておらず、解消にも税金や手続きのコストがかかります。
③ 評価が上がる見込みなら、承継の時期を早めに検討する
現行ルールのうちに後継者へ株式を贈与することや、事業承継税制の特例措置(特例承継計画の提出は2027年9月30日まで、贈与・相続の期限は2027年12月31日まで)も選択肢です。
参考記事:廃業予定企業の廃業理由の約3割が後継者不在!親族内承継に関する検討会の中間とりまとめが2025年12月12日に公表!
試算の前に、次の6点を確認しておきます。
| 確認項目 | なぜ確認するか(見直し案との関係) |
|---|---|
| ① 持株会社とオーナー一族(同族関係者)で、子会社を直接・間接に100%持っているか | 100%子会社の株式は、適正な価額で親会社の評価に反映する案(第6回資料15ページ)。100%未満が対象になるかは議論中 |
| ② 持株会社の設立時期・直近の組織再編の時期 | 開業後5年未満・組織再編直後は純資産価額方式で評価する案。38%控除は、これらの会社では控除しない使い分けも考えられるとされている(第7回以降に検討) |
| ③ 特定資産の割合(帳簿価額) | 有価証券・賃貸不動産・現預金などが総資産の70%以上なら資産管理会社の案。現行の株特(相続税評価額で判定)とは物差しが変わる |
| ④ 運用収入の割合 | 特定資産の運用収入(配当・家賃など)が総収入の75%以上でも資産管理会社の案。子会社からの配当の扱いは未定 |
| ⑤ グループ内取引(貸付・寄附・資産の移転・経営指導料) | 100%グループ内の資産移転に課税しない制度(グループ法人税制)で資産を子会社へ移し、評価を下げる行為への対応が示されている(第5回資料7ページ) |
| ⑥ 38%控除で下がっている金額 | 控除しない使い分けも考えられるとされている(第7回以降に検討)。控除への依存が大きいほど、結論の影響が大きい |
自社株の評価額の試算(現行ルール・見直し案の両方)は、株価算定・企業価値評価でご支援しています。
4. これからホールディングス化・持株会社化する場合の注意点|組織再編直後と開業後5年未満
第6回資料では、将来予測に必要な実績が確認できない組織再編直後の会社と開業後5年未満の会社は、純資産価額方式で評価してはどうかとされています(19ページ。合理的な予測ができる場合は残余利益方式の余地あり)。
| 設立・再編したばかりの持株会社 | 現行ルール | 見直し案(第6回時点) |
|---|---|---|
| 評価方法 | 開業後3年未満は純資産価額方式(財産評価基本通達189(4)・189-4) | 開業後5年未満・組織再編直後は純資産価額方式(第6回資料19ページ) |
| 38%の控除 | 控除あり。ただし株式移転などで受け入れた時点の含み益は対象外(同186-2(2)) | 控除しない使い分けも考えられるとされている(第7回以降に検討。第6回資料21ページ) |
現行ルールでも設立直後に評価が大きく下がるわけではなく、効果は年数をかけて表れるものでしたが、見直し案ではそのもとになる仕組みがいずれも見直しの対象です。合併・会社分割などのグループ内の再編も、相続・贈与に近い時期ほど影響を受けます(「組織再編直後」が何年を指すかは未提示)。
株価対策だけでなく、経営の目的からホールディングス化を考える
株価対策だけを目的にしたホールディングス化は、見直し案のもとでは効果が小さくなる方向です。一方で、経営・事業の目的によるホールディングス化の価値は、評価の見直しとは関係なく変わりません。たとえば、持株会社が戦略・管理を、子会社が事業を担うグループ経営の役割分担、M&A・新規事業の受け皿、後継者や経営人材を育てる体制づくり、事業ごとの責任と業績の見える化といった目的です。当法人は、単なる組織再編(ハコづくり)ではなく戦略に即した組織設計を重視し、組織づくり・経営の視点からホールディングス化を設計したうえで、株価や税負担、再編にかかる税金(不動産取得税・登録免許税など)もあわせて試算します。スキームの検討と実行は財務コンサル(組織再編・M&A)、承継の体制づくりは事業承継コンサルでご支援しています。
5. 評価への効き方が変わる行動|役員退職金・不動産・現預金・配当
| 行動 | 現行ルール | 見直し案 |
|---|---|---|
| 役員退職金 | 支払った期の利益と純資産が下がり、類似業種比準方式の評価が下がる | 一時的な退職金は、ふだんの利益(正常利益)の計算で足し戻す。支払い済みの退職金は個人の財産になるため、純資産は修正しない(第6回資料14ページ) |
| 不動産の取得 | 取得から3年を経過すると相続税評価額(路線価など)で評価され、取得価額より低い分だけ純資産価額が下がる(財産評価基本通達185) | 帳簿価額の純資産で評価するため、この差による引下げは効きにくい方向。賃貸不動産は特定資産に入る(第6回資料20ページ)。3年以内取得の不動産の扱いは第7回以降の論点(同1ページ) |
| 現預金の積上げ | 株式等の割合を下げる(株特外しの)手段になった | 現預金は特定資産に入る(運転資金は除く案)。一般の会社の評価では簿価純資産に入る |
| 子会社からの配当 | 持株会社の利益に加わり、子会社の純資産を減らす | 持株会社の利益から子会社配当を除き、子会社の価値は子会社株式評価額として反映(骨子11ページ) |
残余利益方式では、利益を生まない現預金を積み増すより、利益の増減のほうが評価に強く効きます。
6. 見直し前でも注意したい|国税庁が公表した圧縮事例と総則6項
国税庁は第4回資料(32〜39ページ)で、評価額を圧縮した事例を金額付きで公表しています。事業上の目的があるホールディングス化そのものが問題とされているわけではありません。問題とされているのは、次のような評価を下げるための取引の組合せです(持株会社が関わるものを要約)。
| 事例(第4回資料のページ) | 主な内容 | 圧縮額(資料の記載) |
|---|---|---|
| 事例①(32ページ) | 上場株式を現物出資して設立した会社が、従業員の転籍で大会社にした子会社へ上場株式を寄附 | 評価額▲100億円、税額▲55億円 |
| 事例②(33ページ) | 持株会社を設立し、株式交換の際に無議決権株式を大量に発行。孫に配当還元方式の価額で贈与 | 評価額▲19億円、税額▲10億円 |
| 事例③(34ページ) | 事業会社が海外子会社からの配当で資金を集めて株特から外れ、持株会社は子会社からの借入れで株特を外したケース。さらに吸収分割で管理部門を移し、持株会社を小会社から大会社へ | 評価額▲20億円、税額▲10億円 |
| 事例④(35ページ) | 持株会社と子会社の間で寄附と貸付けを繰り返して持株会社の債務を膨らませ、孫会社への寄附で含み益を作って38%控除を利用 | 評価額▲65億円、税額▲35億円 |
| 事例⑧(39ページ) | 持株会社が借入れで貸付用不動産を購入し、3年経過後に株式を移転 | 評価額▲5.4億円、税額▲3.0億円 |
こうした取引には、通達どおりの評価が著しく不適当な財産を国税庁長官の指示で評価する財産評価基本通達6項(総則6項)が使われ、最高裁令和4年4月19日判決は、画一的な評価が実質的な租税負担の公平に反する事情があれば、通達の評価額を上回る価額で課税しても平等原則に反しないと判断しています。総則6項の適用は平成27年から令和6年までで27件(うち株式14件)ですが、国税庁は件数の少なさは見直すべき事案が少ないことを意味しないと説明しています(第1回資料15ページ、第5回議事要旨)。同族会社や組織再編の行為・計算で相続税・贈与税を不当に減らすものを否認する規定もあるため(相続税法64条1項・4項)、取引ごとに事業上の目的と実態を記録しておくことが大切です。
まとめ|ホールディングス化の株価対策は「4つの理由ごと」に点検する
あなたの会社のホールディングス化は、4つの理由のうち、どれにどれだけ頼っていますか?それは、見直し案が採用されても残る効果でしょうか。
次のどれかに当てはまるなら、一度試算しておくべきです。
• 持株会社化してから、自社株の評価額を確認していない
• 評価を意識した再編・取引(管理部門の集約、不動産・現預金の保有など)をしたことがある
• 100%子会社に利益や資産が積み上がっている
• 後継者への株式の贈与や、事業承継税制の利用を検討している
ホールディングス化・自社株の評価でお悩みなら、プラスト税理士法人へご相談ください
こんな経営者様はご相談ください。
• すでにホールディングス化した会社の評価額を、現行ルールと見直し案の両方で試算したい
• これから持株会社化すべきか、事業上の目的と税務の両面から判断したい
• 評価見直しを踏まえて、後継者への承継の計画を組み直したい
プラスト税理士法人は、単なる組織再編(ハコづくり)ではなく戦略に即した組織設計を重視し、持株会社化の検討・実行から組織づくり・経営戦略・PMI(=再編後の統合)まで、事業承継の計画と自社株の評価とあわせてご支援します。
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よくある質問
●ホールディングス化(持株会社化)の株価対策は、もう使えなくなりますか?
すべてが使えなくなるわけではありません。国税庁の第6回会議(2026年9月16日)時点の案では、会社規模・株特外し・子会社株式の簿価評価による効果は小さくなる方向で、含み益に対する38%控除の扱いは第7回以降の論点です。いつの相続・贈与から適用されるかは、まだ示されていません。
●株式等保有特定会社(株特)と株特外しとは何ですか?
株式等保有特定会社とは、総資産(相続税評価額)に占める株式等の割合が50%以上の会社で、原則として純資産価額方式で評価されます(財産評価基本通達189(2)・189-3)。株特外しとは、不動産や現預金などを持たせてこの割合を50%未満に下げることです。合理的な理由もなく資産構成を変えて判定を免れたと認められる場合は、変動はなかったものとして判定されます(同189)。
●持株会社の評価で、法人税額等相当額(38%)の控除はなくなりますか?
決まっていません。第6回資料では、組織再編直後・開業後5年未満の会社に使う純資産価額方式では控除しない、資産管理会社では控除する、という使い分けが考えられるとされ、控除の扱い全体は第7回以降の論点です。現行の38%は、令和8年4月1日以後の相続・遺贈・贈与から適用されています(37%から改正)。
●すでにホールディングス化した会社は、解消したほうがよいですか?
評価の見直しだけを理由に急いで解消するのはおすすめしません。解消にも税金や手続きのコストがかかり、見直し案では組織再編直後の会社の扱いも論点になっています。まず現行ルールと見直し案の両方で試算し、事業上の目的とあわせて判断します。
【主な根拠法令・資料】財産評価基本通達6・178〜180・183・185・186-2・186-3・189・189-3・189-4/相続税法64条1項・4項/租税特別措置法70条の7の5・70条の7の6/中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則1条17項2号イ・17条2項/国税庁「『財産評価基本通達の一部改正について』通達のあらましについて(情報)」(令和8年3月25日)/国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」第1回資料15ページ(令和8年4月20日)、第4回資料32〜39ページ(令和8年7月3日)、第5回資料1・6・7ページ、第5回 当日机上配付資料(見直しイメージの骨子)1・6・11ページ、第5回議事要旨及び委員提出意見書(令和8年8月20日)、第6回資料1・14・15・19〜21ページ及び委員提出意見書(令和8年9月16日)/最高裁令和4年4月19日第三小法廷判決(民集76巻4号411頁)
※会議資料のページは、各資料の下部に印字されたページ番号です。
※本記事は2026年10月20日時点で国税庁が公表している資料に基づく一般的な解説です。有識者会議で示された内容は検討段階の案であり、確定したものではありません(第6回の議事要旨は同日時点で未公表)。個別の事案への適用・最終判断は、担当税理士にご確認ください。
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