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非上場株式(取引相場のない株式)の評価方法|同族株主・会社規模の判定から評価方式が決まる4ステップ

公開日 更新日 事業承継・相続
電卓・眼鏡・株価チャートの書類が置かれた机(非上場株式の評価方法を、株主の区分・会社規模・特定の評価会社の判定から確認するイメージ)

非上場株式(取引相場のない株式・自社株)の評価方法を、同族株主の判定・会社規模の判定・特定の評価会社・評価方式の4ステップで解説|財産評価基本通達178〜189-7の基準表と計算例つき

オーナー企業の事業承継・株価算定と、スタートアップの資本政策を支援しているプラスト税理士法人です。

「非上場株式の評価って、結局どの方法で計算すればいいの?」
「同じ会社の株なのに、社長と従業員で評価額が違うと言われた」

非上場株式(自社株)の評価は、相続・贈与だけでなく、親族や役員への株式の譲渡、会社による買取りでも必ず問題になります。税理士法人として忖度なしでお伝えすると、評価額を大きく左右するのは、計算に入る前の「判定」です。誰が株式を取得するのか、会社の規模はどれか、特殊な会社に当たらないか。この順番を一つ間違えるだけで、計算がどれだけ正確でも評価額は大きく外れます。

本記事では、自社株の評価を初めて調べるオーナー経営者と経理・財務の担当者に向けて、財産評価基本通達(=国税庁が定める財産の評価ルール)に沿って、評価方法が決まるまでの4つのステップを、判定の基準表と計算例で解説します。各方式の細かな計算は個別の記事に分けているので、本記事は「全体の地図」として最後までお読みください。

この記事の結論(2026年10月26日時点)
• 非上場株式(取引相場のない株式)の相続税・贈与税の評価額は、財産評価基本通達178〜189-7にしたがい、「誰が取得したか(株主の区分)」「会社規模」「特定の評価会社に当たるか」の3つを判定し、その結果で類似業種比準方式・純資産価額方式・併用方式・配当還元方式のどれを使うかが決まります。
• 経営に影響力のある「同族株主等」は原則的評価方式、それ以外の株主は配当還元方式で評価します。同じ会社の株式でも、取得する人によって評価額が2倍以上違うことがあります。
• 会社規模は、従業員数・総資産(帳簿価額)・取引金額で大会社・中会社・小会社に分け、中会社は「Lの割合」で2つの方式を組み合わせます。株式等保有特定会社などの特定の評価会社は、原則として純資産価額方式です。
• 親族・会社への売買では所得税・法人税の「時価」の考え方が別にあり、評価方法そのものも国税庁で見直しが議論されています(検討段階の案で、確定していません)。

1. 非上場株式の評価は4ステップで決まる|全体像

非上場株式(取引相場のない株式)の相続税・贈与税の評価額は、財産評価基本通達178〜189-7にしたがい、「誰が取得したか(株主の区分)」「会社規模」「特定の評価会社に当たるか」の3つを判定し、その結果で類似業種比準方式・純資産価額方式・併用方式・配当還元方式のどれを使うかが決まります。国税庁のタックスアンサー(No.4638)も同じ枠組みで説明しています。

実際の計算は、国税庁の「取引相場のない株式(出資)の評価明細書」で行います。ステップと明細書の対応は次のとおりです(令和8年4月1日以降用の様式)。

ステップ判定すること主な根拠評価明細書
① 株主の区分取得した人が「同族株主等」か「同族株主以外の株主等」か財産評価基本通達188第1表の1
② 会社規模の判定大会社・中会社・小会社のどれか(中会社は「Lの割合」も)同178・179第1表の2
③ 特定の評価会社の判定株式等保有特定会社・土地保有特定会社・開業後3年未満の会社などに当たるか同189第2表
④ 評価方式の決定と計算類似業種比準・純資産・併用・配当還元のどれで評価するか同179・180・185・188-2・189-2〜189-6第3表〜第7表の3(一般の評価会社は第3表、特定の評価会社は第6表に集計)

配当還元方式で評価する株主でも、②③の判定は確認が必要です。開業前・休業中・清算中の会社は、株主の区分にかかわらず純資産価額や清算分配見込額で評価します(同189-5・189-6)。また、配当還元方式の価額が原則的評価方式の価額を上回る場合は、原則的評価方式の価額で評価するルールがあるからです(同188-2ただし書)。

2. ステップ① 株主の区分|同族株主の判定(30%・50%基準)

同族株主とは?「30%以上」が基本、最大グループが50%超なら「50%超」

同族株主とは、株主1人とその同族関係者(=親族〈6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族。民法725条〉や、そのグループが支配する会社など。法人税法施行令4条)を1つのグループとみて、グループの議決権の合計が30%以上となる場合の、そのグループの株主をいいます。ただし、最も議決権の多いグループが50%超を持つ会社では、50%超のグループだけが同族株主になります(財産評価基本通達188(1))。判定は株式数ではなく議決権の数で行い、会社が持つ自己株式の議決権は0として数えます(同188-3)。

株主構成(議決権)同族株主になるグループ
A家55%・B家35%・その他10%A家だけ(最大グループが50%超のため。B家は35%でも同族株主以外)
A家45%・B家35%・その他20%A家とB家の両方(最大グループが50%以下で、どちらも30%以上)
A家25%・B家20%・ほかは15%未満の株主なし(同族株主のいない会社として、15%・10%の基準で判定)

同族株主でも配当還元方式になる例外|中心的な同族株主と「5%未満・役員以外」

同族株主のグループに入っていても、①会社に「中心的な同族株主」がいて、②本人は中心的な同族株主ではなく、③取得後の議決権が5%未満で、④役員でない(課税時期の翌日から申告期限までに役員になる人を除く)場合は、配当還元方式で評価します(同188(2))。

中心的な同族株主とは、同族株主の1人と、その配偶者・直系血族・兄弟姉妹・1親等の姻族(これらの人が25%以上を持つ会社を含む)の議決権の合計が25%以上となる場合の、その株主です。社長から見た甥・姪やいとこは、この合計に入りません。また、ここでいう役員は社長・理事長と法人税法施行令71条1項1号・2号・4号の役員で、一般的な会社の平取締役は含まれません。

施行令71条1項役員の範囲
1号代表取締役、代表執行役、代表理事、清算人
2号副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
4号指名委員会等設置会社の取締役、監査等委員である取締役、会計参与、監査役、監事

同族株主のいない会社の15%・10%の基準や、従業員持株会・少数株主の扱いは、次の記事で詳しく解説しています。

参考記事:配当還元方式とは?使える株主の判定と計算式・計算例|従業員持株会・少数株主との売買での注意点

3. ステップ② 会社規模の判定|大会社・中会社・小会社とLの割合

原則的評価方式で評価する場合は、会社を大会社・中会社・小会社に区分します(財産評価基本通達178・179)。従業員数が70人以上なら、それだけで大会社です。70人未満なら、表1と表2で当てはまる区分のうち上位の区分を採用します。中会社の「Lの割合」も、表1と表2のうち大きい方です。

表1 総資産価額(帳簿価額)と従業員数による区分

区分卸売業小売・サービス業それ以外の業種
大会社20億円以上(従業員35人以下を除く)15億円以上(従業員35人以下を除く)15億円以上(従業員35人以下を除く)
中会社 L=0.904億円以上(従業員35人以下を除く)5億円以上(従業員35人以下を除く)5億円以上(従業員35人以下を除く)
中会社 L=0.752億円以上(従業員20人以下を除く)2億5,000万円以上(従業員20人以下を除く)2億5,000万円以上(従業員20人以下を除く)
中会社 L=0.607,000万円以上(従業員5人以下を除く)4,000万円以上(従業員5人以下を除く)5,000万円以上(従業員5人以下を除く)
小会社7,000万円未満または従業員5人以下4,000万円未満または従業員5人以下5,000万円未満または従業員5人以下

表2 直前期末以前1年間の取引金額による区分

区分卸売業小売・サービス業それ以外の業種
大会社30億円以上20億円以上15億円以上
中会社 L=0.907億円以上30億円未満5億円以上20億円未満4億円以上15億円未満
中会社 L=0.753億5,000万円以上7億円未満2億5,000万円以上5億円未満2億円以上4億円未満
中会社 L=0.602億円以上3億5,000万円未満6,000万円以上2億5,000万円未満8,000万円以上2億円未満
小会社2億円未満6,000万円未満8,000万円未満

判定に使う数字の定義は、次のとおりです(同178(1)〜(4))。
• 総資産価額:直前期末(=課税時期の直前に終わった事業年度の末日)の帳簿価額の合計
• 従業員数:1年間継続して勤務した従業員(週30時間未満を除く)の人数+それ以外の従業員の年間労働時間の合計÷1,800時間。社長と2章の役員は含めない
• 取引金額:直前期末以前1年間の目的とする事業の収入金額(売上高)
• 業種:取引金額が最も多い業種で判定。日本標準産業分類のどの業種がどの区分に当たるかは、国税庁の「日本標準産業分類の分類項目と類似業種比準価額計算上の業種目との対比表」で確認します(例:ソフトウェア業などの情報通信業は「小売・サービス業」)

中会社の評価額は「類似業種比準価額×L+純資産価額×(1−L)」です(同179(2))。一般に類似業種比準価額は純資産価額より低くなりやすいため、Lが大きいほど評価額は下がる傾向があります。類似業種比準価額の計算そのものは、次の記事で解説しています。

参考記事:類似業種比準価額の計算方法|計算式・比準要素の求め方・株価Aと業種目の選び方を計算例で解説

4. ステップ③ 特定の評価会社の判定|株式等保有特定会社・土地保有特定会社など

資産の持ち方や営業の状態が特殊な会社は「特定の評価会社」として、会社規模にかかわらず、原則として純資産価額方式で評価します(財産評価基本通達189)。判定は表の上から順に行います。開業前・休業中・清算中の会社が最優先で、以下は同189(1)〜(4)のかっこ書による順序です。

種類判定基準(要旨)同族株主等の評価方法
清算中の会社清算中であること清算で分配を受ける見込みの金額を、基準年利率で割り戻した額(同189-6)
開業前・休業中の会社開業前、または休業中であること純資産価額(同189-5)
開業後3年未満の会社等開業後3年未満、または直前期末の比準要素(1株当たりの配当金額・利益金額・簿価純資産価額)がすべて0(比準要素数0の会社)純資産価額(同189-4)
土地保有特定会社総資産(相続税評価額)に占める土地等の割合が一定以上(下の表)純資産価額(同189-4)
株式等保有特定会社総資産(相続税評価額)に占める株式・出資・新株予約権付社債の割合が50%以上純資産価額、または選択によりS1+S2方式(同189-3)
比準要素数1の会社直前期末の比準要素のうち2つが0で、かつ直前々期末の比準要素のうち2つ以上が0純資産価額、または選択によりL=0.25の併用方式(同189-2)
土地保有特定会社の基準対象になる会社土地保有割合
70%基準大会社、および総資産(帳簿価額)が卸売業20億円以上・それ以外15億円以上の小会社70%以上
90%基準中会社、および総資産(帳簿価額)が卸売業7,000万円以上・小売・サービス業4,000万円以上・それ以外5,000万円以上の小会社(70%基準の対象を除く)90%以上
対象外総資産(帳簿価額)が上の金額未満の小会社—

開業前・休業中・清算中以外の特定の評価会社では、同族株主以外の株主等が取得した株式は配当還元方式で評価します(同189-2〜189-4のなお書き、タックスアンサーNo.4638)。また、合理的な理由なく資産構成を変えて株式等保有特定会社・土地保有特定会社の判定を免れた場合は、その変動はなかったものとして判定します(同189のなお書き)。純粋持株会社は株式等保有特定会社に当たりやすく、ホールディングス化による株価対策とこの判定は切り離せません。

参考記事:純資産価額方式とは?計算式・計算例と、決算書の純資産と評価額がずれる3つの理由
参考記事:【ホールディングス化】持株会社の株価対策はもう使えない?評価見直し案で変わる4つのポイントと、いまやるべきこと

5. ステップ④ 評価方式の決定|類似業種比準・純資産・併用・配当還元の概要

①〜③の判定が終わると、使う評価方式が決まります。4つの方式の概要は次のとおりです。

方式計算のしくみ(要旨)使う場面
類似業種比準方式上場している同業種の株価(A)に、1株当たりの配当・利益・簿価純資産の3要素を同業種と比べた割合の平均を掛け、しんしゃく率(大会社0.7・中会社0.6・小会社0.5)を掛ける(同180)大会社の原則。中会社の併用方式の一部
純資産価額方式資産を相続税評価額に洗い替え、負債と「評価差額に対する法人税額等相当額」(含み益の38%。令和8年4月1日以後の相続・遺贈・贈与に適用し、それより前は37%)を差し引き、課税時期の発行済株式数で割る(同185・186-2)小会社の原則。特定の評価会社。大会社・中会社で低い方を選ぶ場合
併用方式類似業種比準価額×L+純資産価額×(1−L)(同179(2))中会社の原則。小会社はL=0.50で選択可(同179(3))
配当還元方式年配当金額÷10%×1株当たりの資本金等の額÷50円(同188-2)同族株主以外の株主等。原則的評価方式の方が低ければそちらで評価

あわせて押さえておきたいルールは次のとおりです。
• 選択の余地:大会社は純資産価額の方が低ければ純資産価額で評価でき、中会社も併用方式の類似業種比準価額を純資産価額に置き換えられます(同179(1)(2)ただし書)。
• 純資産価額の80%評価:株式を取得した人とその同族関係者の議決権の合計が50%以下なら、中会社・小会社の評価と、比準要素数1の会社・株式等保有特定会社・土地保有特定会社・開業後3年未満の会社等の評価で使う純資産価額を80%にします(同185ただし書、189-2〜189-4)。大会社が純資産価額を選ぶ場合と、開業前・休業中の会社には適用されません。
• 3年以内に取得した不動産:会社が課税時期前3年以内に取得・新築した土地・建物は、路線価などではなく通常の取引価額で評価します(帳簿価額が通常の取引価額に相当すると認められる場合は帳簿価額によることもできます。同185)。
• 年配当金額:直前期末以前2年間の配当(特別配当・記念配当など将来毎期続くと見込めないものを除く)の合計の2分の1を、資本金等の額を50円で割った株式数で割った額です。2円50銭未満や無配なら2円50銭とします(同183(1)・188-2)。

6. 計算例|会社規模の判定から1株当たりの評価額まで

次の会社(数字は仮のもの)で、4ステップを通して評価額を求めます。

項目前提
業種ソフトウェア業(情報通信業のため、規模区分は小売・サービス業)
従業員数・総資産・取引金額従業員30人、直前期末の総資産(帳簿価額)3億円、直前期の取引金額6億円
株式発行済株式数1万株、資本金等の額1,000万円(1株当たり1,000円)
株主社長の一族が9,000株(議決権90%)、親族でない従業員が残りの1,000株
特定の評価会社当たらない
1株当たりの価額類似業種比準価額2,000円(中会社のしんしゃく率0.6で計算済み)、純資産価額5,000円
配当直前期末以前2年間の合計200万円(特別配当・記念配当なし)

ステップ①② 株主の区分と会社規模

社長の一族は50%超のため同族株主、従業員は同族株主以外の株主です。会社規模は、従業員70人未満で、総資産3億円(4,000万円以上・従業員6人以上)、取引金額6億円(6,000万円以上20億円未満)のどちらで見ても中会社です。

Lの判定当てはめ(小売・サービス業)割合
表1(総資産と従業員数)3億円は「5億円以上」に届かず、「2億5,000万円以上(従業員20人以下を除く)」に該当(30人)0.75
表2(取引金額)6億円は「5億円以上20億円未満」に該当0.90
採用するL大きい方0.90

ステップ④ 社長の一族が取得する株式(併用方式)

1株当たりの評価額 = 2,000円×0.90 + 5,000円×(1−0.90)= 1,800円 + 500円 = 2,300円
純資産価額(5,000円)を使うより低いため、2,300円で評価します。9,000株なら、2,300円×9,000株=2,070万円です。もしLを表1の0.75で計算すると、2,000円×0.75+5,000円×0.25=1,500円+1,250円=2,750円となり、1株当たり450円(9,000株で405万円)高くなります。

ステップ④ 従業員が取得する株式(配当還元方式)

• 資本金等の額を50円で割った株式数:1,000万円÷50円=20万株
• 1株(50円換算)当たりの年配当金額:200万円÷2年÷20万株=5円(2円50銭以上なので5円を使う)
• 配当還元価額:5円÷10%×(1,000円÷50円)=50円×20=1,000円

比べる原則的評価方式の価額は、従業員のグループの議決権が50%以下のため純資産価額を80%(5,000円×80%=4,000円)にして、2,000円×0.90+4,000円×0.10=1,800円+400円=2,200円です。配当還元価額1,000円の方が低いため、従業員の株式は1株1,000円で評価します。

取得する人と計算1株当たりの評価額
社長の一族(併用方式、L=0.90)2,300円
誤ってL=0.75で計算した場合2,750円(450円の過大評価)
従業員(配当還元方式)1,000円

同じ会社の株式でも、取得する人によって評価額が2倍以上違い、Lを読み違えるだけで1株450円ずれるのが、非上場株式の評価の特徴です。自社の数字で4ステップを当てはめた評価額を確認したい場合は、株価算定・企業価値評価の支援内容をご覧ください。

7. 親族・会社に株式を売るときの株価|相続税の評価額がそのまま使えるとは限らない

売買では、相続税・贈与税とは別に、所得税・法人税の「時価」の考え方があります。

売買の当事者低い価額で売買したときの主な課税時価の物差し
個人から個人(親族・役員など)買い手に、時価との差額の贈与税(相続税法7条)相続税法上の時価。財産評価基本通達の評価額が目安になることが多いが、取引の実態に応じた検討が必要
個人から法人(持株会社・自己株式の取得など)時価の2分の1未満なら、売り手は時価で譲渡したとみなされる(所得税法59条1項2号、同法施行令169条)。会社による買取りでは、資本金等の額を超える部分がみなし配当(所得税法25条。相続した株式には要件を満たせば特例あり。租税特別措置法9条の7)所得税基本通達59-6
法人から法人法人税(時価との差額の受贈益・寄附金など)法人税基本通達2-3-4(4-1-5・4-1-6を準用)、9-1-13・9-1-14(59-6とほぼ同じ条件の定め)

所得税基本通達59-6では、財産評価基本通達を次の①〜④のように修正して使います。①株主の区分は、買う人ではなく売る人の譲渡直前の議決権で判定する、②売る人が「中心的な同族株主」なら「小会社」として評価する、③会社が持つ土地と上場株式は売買時の時価にする、④「評価差額に対する法人税額等相当額」を差し引かない。株式の移動を含む承継の進め方は、事業承継コンサルティングの支援内容をご覧ください。

8. 評価方法の見直しの動き(2026年10月26日時点)

国税庁の有識者会議では、会社規模の区分と類似業種比準方式をなくし、直前期末の簿価純資産に、株主が通常期待する以上に稼ぐ力(残余利益)の5年分を加えて評価する「残余利益方式」を原則とする案が示されています。純資産価額方式は特定の評価会社専用に、配当還元方式は使える株主の範囲を絞る方向です。いずれも検討段階の案で、確定していません。適用時期も未公表です。

参考記事:非上場株式(自社株)の評価の改正・見直しはどうなる?類似業種比準方式の廃止案と残余利益方式|国税庁 有識者会議・第6回までの要点
参考記事:残余利益方式とは?計算式と計算例|還元率・しんしゃく率・正常利益の考え方

9. まとめ|非上場株式の評価は「判定の順番」で決まる

その自社株の評価額、4つの判定を一つずつ確かめたうえで計算されていますか?非上場株式の評価は、株主の区分、会社規模、特定の評価会社、評価方式の順に判定して初めて計算に入れます。どこか一つでも判定を誤れば、相続税・贈与税の申告や株式の売買価格の根拠が崩れます。

次のどれかに当てはまるなら、一度評価額を確認しておくべきです。
• 自社株の評価額を、ここ数年確認していない
• 従業員数や売上高が、会社規模やLの割合の境目に近い
• 持株会社や不動産・有価証券など、事業以外の資産が多い
• 後継者への贈与、親族・役員への譲渡、会社による買取りを予定している

自社株の評価・事業承継でお悩みなら、プラスト税理士法人へご相談ください

こんな経営者様はご相談ください。
• 自社株の評価額を、正しい判定にもとづいて算定したい
• 親族や役員、会社への株式の売買価格の根拠を用意したい
• 評価方法の見直しの動きも踏まえて、事業承継の時期と方法を検討したい

プラスト税理士法人は、自社株の評価・株価算定から、事業承継・組織再編、M&Aまでを一貫して支援しています。相続・贈与の評価と、売買のときの所得税・法人税の時価を並べて整理し、どの場面でも説明できる株価の根拠をご用意します。初回のご相談は無料です。

よくある質問

●非上場株式の評価方法は、何で決まりますか?
①株主の区分(同族株主等か、同族株主以外の株主等か)→②会社規模の判定(大会社・中会社・小会社とLの割合)→③特定の評価会社の判定(株式等保有特定会社・土地保有特定会社など)→④評価方式の決定、の4ステップで決まります。同族株主等は類似業種比準方式・純資産価額方式・併用方式のいずれか、同族株主以外の株主等は配当還元方式で評価します(財産評価基本通達178〜189-7)。

●同族株主かどうかは、どう判定しますか?
株主1人とその親族などの同族関係者の議決権を合計し、30%以上となるグループの株主が同族株主です。ただし、最も議決権の多いグループが50%超を持つ会社では、そのグループだけが同族株主になります。同族株主でも、中心的な同族株主がいる会社で、取得後の議決権が5%未満で役員でない人などは、配当還元方式で評価します(財産評価基本通達188)。

●会社規模(大会社・中会社・小会社)は、どう判定しますか?
従業員数が70人以上なら大会社です。70人未満の会社は、直前期末の総資産価額(帳簿価額)と従業員数による区分と、直前期末以前1年間の取引金額による区分のうち、上位の区分になります。金額の基準は卸売業、小売・サービス業、それ以外の業種で異なり、業種の区分は国税庁の対比表で確認します(財産評価基本通達178)。

●株式等保有特定会社とは、何ですか?
総資産(相続税評価額)のうち、株式・出資・新株予約権付社債の占める割合が50%以上の会社です。会社規模にかかわらず、原則として純資産価額方式で評価し、選択によりS1+S2方式も使えます。合理的な理由なく資産構成を変えて判定を免れた場合は、その変動はなかったものとして判定します(財産評価基本通達189(2)・189-3)。

●自社株の評価額を計算するには、何を用意すればよいですか?
直近3期分の決算書と法人税申告書(別表四・別表五(一)を含む)、株主名簿と定款(議決権・種類株式の確認)、従業員数と労働時間がわかる資料、配当の実績、会社が持つ土地・建物・有価証券の資料(相続税評価額の計算用)です。比準要素数1の会社の判定では直前々期の数字も使い、1株当たりの簿価純資産価額は別表五(一)をもとに計算します(財産評価基本通達183・189(1))。

●いつ時点の数字で評価しますか?
評価の基準日は課税時期(相続は亡くなった日、贈与は贈与で取得した日)です。会社規模の判定と類似業種比準価額の比準要素は直前期末の数字を使います。純資産価額は課税時期の資産・負債で計算するのが原則ですが、仮決算をしておらず、直前期末から課税時期までに資産・負債の著しい増減がない場合は、直前期末の資産・負債をもとに計算することもできます(財産評価基本通達178・183・185、評価明細書の記載方法等 第5表)。

【主な根拠資料】国税庁「財産評価基本通達」第8章第1節:178・179/180〜184/185〜188-6/189〜189-7/取引相場のない株式等の評価(純資産価額方式における法人税額等相当額)の改正/取引相場のない株式(出資)の評価明細書の様式及び記載方法等/日本標準産業分類の分類項目と類似業種比準価額計算上の業種目との対比表(令和7年分)/タックスアンサーNo.4638/所得税基本通達59-6/法人税基本通達2-3-4・9-1-13・9-1-14/タックスアンサーNo.1477/相続税法7条、所得税法25条・59条、所得税法施行令169条、租税特別措置法9条の7、法人税法施行令4条・71条、民法725条/国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」第5回資料(令和8年8月20日)・第6回資料(令和8年9月16日)
※第6章の計算例の数字は仮のものです。類似業種比準価額・純資産価額は、実際には各方式の計算が必要です。
※本記事は2026年10月26日時点の通達・国税庁の公表資料に基づく一般的な解説です。有識者会議で示された内容は検討段階の案であり、確定したものではありません。
※ 最終判断は担当税理士が行ってください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断は専門家にご相談ください。

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